公開日 2018/08/16
日本最西端の地、与那国島。本町はこの特殊な環境のため、山海の恵みも食文化も唯一無二のものを持っています。与那国にはおいしくてパワーのある食べ物がたくさんあり、与那国の食文化を彩っています。与那国の食文化の一部をご紹介します。
1)与那国の食材
〇カジキ(クロカワカジキ、シロカワカジキ、バショウカジキ)
黒潮に囲まれた与那国島では年間、約1,000本のカジキが水揚げされています。町魚でもあるカジキは与那国町民には一番身近な魚です。日常の食事でも、冠婚葬祭にも欠かせません。カジキは高タンパク低カロリーで、骨を形成する助けとなるビタミンDが多く含まれています。
(調理例)刺身、骨のから揚げ、中身のチャンプルー等
〇与那国そば
小麦粉を原料とした麺で、切り口は楕円で、縮れは無く真っ直ぐです。あっさりした麺はかつお節や豚骨でとった出汁を吸って美味しさが増します。三枚肉やソーキ、かまぼこ、紅ショウガ、ねぎなどを具にします。
(調理例)汁そば、焼きそば等
〇豆腐
与那国島で唯一、豆腐製造を行っている稲蔵豆腐(平成30年3月現在)。こちらでは市販のにがりは使用せず、与那国の海水を使用しています。ミネラル分が豊富で塩味もついています。固めるのが難しいですが、熟練の技で作られておりしっかりとした豆腐です。
(調理例)冷奴、チャンプルーの具等
〇かまぼこ
与那国のかまぼこにはすり身にカジキやシイラが含まれるため、歯ごたえがぷりぷりとしていることが特徴です。祭事には欠かせない品でもあります。また、旅行者のお土産としても大変人気です。
(調理例)そのままで 刻んでチャンプルーに そばの具として
〇長命草
セリ科の常緑多年草で海岸に生えていることが多いです。和名「ボタンボウフウ」別名「サクナ」(沖縄本島)「チョーミーグサ」(石垣)「グンナ」(与那国)沖縄では「一株食すると一日長生きする」として親しまれ、古くから食材、薬草として活用されています。与那国島では神事に欠かせない供物の一品で、出産の十日満産祝いにも食べられます。また、最近では長命草を使用したお菓子やドリンク、麺やお 酒といった加工食品がたくさん生まれ、与那国島のお土産として定番となっています。粉末加工されたものも販売されており、手軽に料理に加えて楽しみ方も広がります。
(調理例)みそ和え、和え物、天ぷら、さしみのけん
(粉末の活用例)マヨネーズと合わせドレッシングに 牛乳やヨーグルトに混ぜて 焼き菓子やデザートに
〇クシティ
セリ科の一年草で和名「コエンドロ」別名「カメムシソウ」といいます。
外国語では、コリアンダー(英語)、パクチー(タイ語)、香菜(中国語)といい、世界中で食べられています。葉は香味野菜として薬味に用いられることが多いですが、種子はスパイスとしてカレーや茶などに使用されます。独特の強い香りがあるため、大変好む人と不快に感じる人と両者があります。 与那国島のものは葉が柔らかく、味・香りともに濃厚であるといわれており、冬の旬野菜として親しまれています日本には、中国から伝わり、茨城・群馬・静岡・岡山・熊本・沖縄などが産地です。
(調理例)サラダ、和え物、さしみのけん、かきあげ等
〇オオタニワタリ、ホウビカンジュ
山間の日陰に自生するシダ植物の一種で、与那国島では人気の山菜です。柔らかい新芽の部分を採ります。加熱すると山菜特有のぬめりが少し出ますが、しゃきしゃきとした歯触りは大変美味です。
(調理例)炒め物、ホイル焼き、茹でてサラダに
〇米みそ
与那国の米を発酵させて作ります。使用する時は、水を少量加えてすり鉢で擦ってから使います。行事食のクニヌシムヌやスー(グンナのみそ和え)等に使われます。日常の食事でも、みそ汁や油みそといった料理に使用します。
2)伝統行事食
〇スー(グンナのみそ和え)
「グンナ」は与那国島の方言で「長命草」のことです。この料理は与那国島の神事に欠かせない供物の一品です。
〇クニヌシムヌ(三枚肉のみそ仕立ての吸い物)
「クニ」は肉、「シムヌ」は吸い物のことです。豚肉の三枚肉をよく茹で、角切りにし、酒を少し入れてよく煮ます。与那国の米みそをすり鉢ですって、とろりとするまで煮て、最後におろししょうがで風味をよくします。肉の脂の甘さと米みその甘さがマッチした与那国の料理です。お祝いや法事の二十五年忌以上、三十三年忌のときの三番吸い物として出されます。
一番吸い物:そうめん、しょうが又はねぎ
二番吸い物:みんぐる(きくらげ)、ぜんまい、大根、あだんの芯、クバの芯
三番吸い物:豚の三枚肉、米みそ
〇豚肉のしょうゆ漬け
豚肉は大きな塊のまま、箸が通るくらいまでよく茹で、縦15~18㎝横9~12㎝くらいに切ります。しょうゆをよく煮詰めて冷まし、豚肉を絡めます。
〇クイムヌ(餅菓子の総称はナントゥと言う)
祭事に作られるウサイ(ご馳走)の一品です。もち粉を蒸して、赤や黄色の波模様を付け色鮮やかに作ります。
〇クバ餅
もち粉をこね、丸めてクバ(びろう)の葉で包み、蒸しあげて作ります。アミウリや豊年祭等の行事で供えられ、後、ごちそうとして食べます。
〇チンムリ
マチリで供えるもので、七種の素材(揚げ豆腐、ようかん、てんぷら、山の芋、昆布、ナントゥ、かまぼこ)で構成されています。お祝いの場合は九種となります。かまぼこの上にはハイビャクシンを立てます。
3)郷土料理レシピ
〇クバの芽の炒め物
クバの芽は、あくが強いので下ゆでをして短冊切りにしておく。下ゆでした豚三枚肉を炒め、クバの芽と加え炒める。味付けは、塩、こしょうで味をつける。
〇カジキの中身の炒め物
カジキの中身(内臓)を下茹でし、臭みをとる。茹でたものを食べやすく切り、塩こしょうとおろししょうがをもみ込んで下味をつける。きくらげやこんにゃく、ニラなどの野菜と一緒に炒め、出汁と塩、しょうゆで調味する。好みで唐辛子を入れてもよい。
〇チバティ&琉球よもぎの天ぷら
チバティ(ヒハツモドキの葉)と琉球よもぎを採ってきて洗う。小麦粉、卵、塩で衣を作り、チバティと琉球よもぎに衣をまとわせて揚げる。