○与那国町自然保護条例
昭和47年10月11日
条例第62号
(趣旨)
第1条 この条例は自然を保護するため町内にある景勝地若しくは名所、旧跡及び海中、陸上の資源又は鳥類等を保護し自然破壊の防止に努め自然と生活の調和のなかに生きがいある環境の創造のため他に定めるものを除くほかこの条例の定めるところによる。
(定義)
第2条 この条例において次に掲げる用語の意義はそれぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 景勝保護区 特にすぐれた景勝地であって良好な自然環境を維持するために保護することが必要な地区
(2) 遺跡保護区 歴史的価値の高い遺跡の存在する地区で放置すると壊滅するおそれのある地区
(3) 海中保護区 さんご礁その他海中資源の豊富に生存する海域で水産動物の保護又は繁殖を図るために保護することが必要な地区(海域)
(4) 動植物保護区 野生動植物の生息地(渡来地及繁殖地を含む。)又は植物の生息地であって動植物の保護又は繁殖を図るために保護することが必要な地区
(事業者の責務及び財産権の尊重等)
第3条 事業者は町の自然の保護に関する施策に協力するとともに動植物を守護する等自然の破壊の防止に努め、植生の回復、緑地造成、その他自然の保護に努めなければならない。
2 この条例の適用に当たっては関係者の所有権、鉱業権、漁業権その他の財産権を尊重すると共に他の公益との調整に留意しなければならない。
(景勝保護区の指定)
第4条 町長は町内の景勝のうち特にすぐれた景勝地の良好な自然環境を維持するため人為的に美観をそこなわれるおそれがあるときは景勝地に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには町長はあらかじめ指定しようとする地区内の所有者の同意を得なければならない。
3 第1項の規定による指定をするには町長はあらかじめ別に定める自然保護審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くものとする。
4 第1項の規定による指定はその旨を公示すると共に当該地区内の所有者等に通知して行う。
(解除)
第5条 町長は前条第1項の指定を解除し又はその区域を変更しようとするときは審議会の意見を聴かなければならない。
(制限)
第6条 景勝保護区内においては次の各号に掲げる行為は町長の許可を受けなければならない。
(1) 工作物を新築改築又は増築すること。
(2) 樹木竹を伐採し、又は掘起すこと。
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
(4) 広告物その他これに類する物を掲示し又は設置すること。
(5) 水面を埋め立て又は干拓すること。
(6) 土地を開墾しその他土地の形状を変更すること。
(7) 町長が指定する植物の採取及び鳥獣を捕獲すること。
2 前項各号に掲げる行為をしようとする者はその旨を30日前までに町長に届け出なければならない。
(条件)
第7条 前条第2項の規定による許可を与えるときは町長は景勝地の景観を保護するために必要な限度において条件に附することができる。
(不許可及び許可の取消し)
第8条 第6条第2項の規定による届出が景勝保護区の景観を著しく阻害し又は景勝の保護について重大な支障を及ぼす行為であるときは町長は理由を附してこれを許可しないことができる。
2 前条の処分を受けることにより損害を受ける者に対しては町は通常その生ずべき損害を補償する。
3 前項の規定によって許可を受けた者がその届出た行為又は許可の条件に返したときは、町長はその許可を取消し、現状回復を命じ、又は現状回復が著しく困難である場合にはこれに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
4 前項の規定による現状回復に要する費用はその者の負担とする。
(遺跡保護区の指定)
第9条 町長は町内の歴史的遺跡の多い地区でその価値が高く放置することに壊滅するおそれがある場合はその区域を遺跡保護区に指定することができる。
(不許可及び許可の取消)
第12条 前項の規定により準用する第2条第2号の規定による届出が遺跡保護区の遺跡を損かいし、又は保護について重大な支障をおよぼす行為であるときは町長は理由を附してこれを許可しないことができる。
(海中保護区の指定)
第13条 町長は町内の島嶋及び海域においてさんご礁魚類若しくは貝類及び海藻類で乱獲されその資源を失うおそれのある海域にあっては海中保護区に指定することができる。
(制限)
第15条 海中保護区内においては次の各号に掲げる行為は町長の許可を受けなければならない。
(1) さんご礁を採取すること。
(2) 町長が指定する貝類若しくは海藻類を採取すること。
(3) 酷魚乱獲を防止し自然の海域の環境保全を図る為ホース等器具器材並びに酸素ボンベ等の潜水器具を使用して魚類を捕獲すること。
(4) 島嶋の木、竹を伐採し芝生等を採取すること。
(5) 砂礫を採取すること。
(6) 水面を埋め立て又は干拓すること。
(7) 工作物を設置すること。
2 前項各号に掲げる行為をしようとする者はその旨を10日前までに町長に届け出なければならない。
(不許可又は許可の取消し)
第17条 第5条第2項の規定による届出が海中保護区の資源を著しく滅失し又は資源の保護について重大な支障を及ぼす行為であるときは町長は理由を附してこれを許可しないことができる。
(亜熱帯植物保護区の指定)
第18条 町長は町内の山野のうち特に自然生息地で保護又は繁殖を図るため乱獲のおそれある地区を保護することが必要な地区を亜熱帯植物保護区に指定することができる。
(制限)
第20条 亜熱帯植物保護区内において次の各号に掲げる行為は町長の許可を受けなければならない。
(1) 町長が指定する植物類を採取すること。
(2) 樹木竹を伐採すること。
(3) 工作物を設置すること。
2 前項各号に掲げる行為をしようとするものはその旨を10日前までに町長に届け出なければならない。
(不許可又は許可の取消し)
第22条 第20条第2項の規定による届出が亜熱帯植物保護について支障を及ぼす行為である時は町長は理由を附してこれを許可しないことができる。
(勧告)
第23条 町長は自然を保護するために必要があると認めるときは、保護地区内の土地若しくは占有者並びに所有者又は保護地区等の自然の保護に影響を与える行為をしようとする者若しくは、行為をした者に対して必要な勧告をすることができる。
2 町長は、保護地区外においても、動植物及びその他の生物の保護が必要と認めるときは、その動植物及びその他の生物の捕獲又は採取しようとする者若しくは、した者に対してその行為を禁止するよう勧告することができる。
(立入調査)
第24条 町長はこの条例の施行に必要な限度において、当該職員をして保護地区内の土地に立ち入り、当該土地にある物件又は当該土地において行われている行為の状況を調査させることができる。
2 前項の場合において、当該職員は、その身分を証する証明書を携帯し関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(標識の設置)
第26条 町長は保護地区等を指定したときは、当該保護地内の土地にその旨を表示する標識を設置しなければならない。
3 何人も第1項の規定により設置された標識を町長の承諾を得ないで移転し若しくは除却し、又は汚損し若しくは損壊してはならない。
(補則)
第27条 この条例の施行に関し必要な事項は町長が規則で定める。
(罰則)
第28条 第8条第3項に規定する命令に違反した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は6か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、1万円以下の罰金に処する。
(3) 第24条第1項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(両罰規定)
第29条 法人の代表者又は、法人若しくは人の代理人、使用人、その他従業者が、その法人又は人の業務に関して前条各項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本項の罰金刑を科する。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(昭和60年4月1日条例第12号)
この条例は、公布の日から施行する。