○与那国町漁業担い手育成プラン新規就業者に対する自立経営支援・貸与支援事業実施要領
令和5年8月21日
訓令第12号
1 趣旨
与那国町では、漁業就業者の減少と高齢化が進行するとともに、後継者の確保が順調になされていないことから、本町の産業基盤の一つである漁業の衰退が懸念されている。一方、与那国町の漁業は国境の健全なる維持にも大いに貢献しているところでもあり、与那国町の漁業基盤の向上は、多方面で重要な位置にある。
ただし、新規就業者が新たに漁業経営を開始しようとする際、漁船、漁労用機器等の取得に大きな負担がかかることが障害となっている。このため、漁業に就業を希望する者が漁業に就業する際の初期の経営基盤整備の負担を軽減することによって、与那国町の漁業の将来を担う漁業者の円滑な確保を図り、漁業の生産力の増大と与那国町の健全な発展に資するものとする。
2 事業の内容
(1) 事業の内容・目的
新規就業者が漁業経営を開始する時に必要な漁船、漁労用機器等(以下、漁船等)を、与那国町漁業協同組合(以下、漁協)が整備して貸与することにより、初期の経営基盤整備の負担軽減を図り、自立経営の円滑化を図る。
(2) 事業実施主体
漁協
(3) 事業の対象者
この事業の対象者は、次に掲げる要件をすべて満たす者とする。
1) 与那国町において新規に漁業の経営を開始しようとする者。
2) 漁業経営を開始しようとする時点において、年齢が50歳未満の者。ただし、与那国町漁業担い手育成プランの新規就業者育成研修(以下、育成研修)の修了者等、与那国町漁業担い手育成協議会(以下、協議会)が新規自立就業者と認定する者(以下、認定新規自立就業者)。
3) 年間90日以上操業する専業営漁計画及び貸与金の返済計画を作成し、その年間の営漁計画が健全で、これの達成が確実であると見込まれる者。
5) 親及び3親等以内の親族の経営基盤の承継を受けない者。あるいは、親及び3親等以内の親族等に漁業の経営をしている者がいる場合においては、その漁業経営規模を拡大すると協議会が認定する者。
(4) 事業の実施期間
本事業の実施期間は令和3年度から令和8年度までとする。ただし、事業終了後においても、漁協と認定新規自立就業者間で取り交わされている賃貸借契約期間に残期間がある場合、その契約は継続される。
3 事業の実施方法
(1) 営漁計画及び返済計画の認定
1) 認定新規自立就業者は、漁業経営を開始するため、当該事業により必要な漁船等を漁協から借り受けて漁業に就業しようとするときは、様式第3号により営漁計画及び返済計画を作成し、漁協を経由して協議会に申請するものとする。
2) 申請を受けた漁協は、遅延なく書類の点検を行い、計画の妥当性を確認した場合、協議会に提出する。協議会は遅滞なく書類の内容を確認し、計画の妥当性を確認した場合には計画を認定し、様式第3号―1の営漁計画及び返済計画認定承認申請書を添付した上で、与那国町に提出するものとする。
3) 与那国町は、協議会で認定された書類が適当であると認めるときは、様式第4号により漁協及び協議会にそのことを通知するものとする。
なお、漁協、協議会及び与那国町の営漁計画及び返済計画の認定に当たっては、必要に応じて、沖縄県漁業信用漁業協同組合連合会、沖縄県漁業信用基金協会等、関係金融機関と協議するものとする。
4) 漁協は、本要領に定める事業の内容、目的に従って認定新規自立就業者が営漁計画に基づいて漁業に従事するよう指導監督するものとする。
5) 営漁計画及び返済計画を見直す必要が生じた場合は、これを変更することとし、この場合の手続は3(1)1)2)3)及び4)に準じて行うものとする。
(2) 与那国町の支援
与那国町は、漁協及び協議会と協力して事業の円滑な推進に努めるとともに、毎年度予算の範囲内において、漁協に対して、認定新規自立就業者1件当たりの整備費総額に対して80%(上限、2,500万円)以内の整備経費を補助するものとする。
(3) 貸与の方法等
1) 貸与の方法
漁協は、3(1)2)及び3)の規定により認定及び通知された営漁計画に基づいて、漁船等を整備し、認定新規自立就業者と様式第2号の賃貸借契約を締結して、当該漁船等を貸与するものとする。
2) 貸与の条件
貸与の条件は、次のとおりとする。
① 漁船等の整備対象品及びその金額は、押印された最低3社の見積書等の文書で漁協及び協議会が確認し、特定するものとする。ただし、中古品に関しては、漁船保険の保険価額を基準に10%を上乗せした範囲内で、漁船等の整備対象品の内容と別紙1を参考にして作成された中古船売買契約書に記載されている売買価格(取引予定額)を漁協及び協議会が確認し、特定するものとする。
② 賃貸期間は、認定新規自立就業者の営漁計画、返済計画に基づき、10年あるいは当該船舶及び装備・機材の法定耐用年数(中古品は使用年数差し引いた年数)のいずれか長い方で設定するものとする。
③ 賃貸料は、減価償却費及び事務手数料を含む漁協の負担額及び整備品の法定耐用年数と賃貸期間を基礎として設定する月額貸与率を基に算出するものとする。ただし、月額貸与率は漁協負担額の3%以内(漁協手数料を含む)とする。
3) 返済の方法
4) 賃貸期間終了後の取扱
賃貸期間が終了し、かつ漁協と認定新規自立就業者間の賃貸借契約が滞りなく終了した場合に、整備した漁船等は、様式第6号において申請し、協議会及び与那国町の承認を得れば、所有権を漁協から認定新規自立就業者に移転できるものとする。なお、賃貸期間終了後に所有権の移転を行う場合には、減価償却費(固定資産税の申告)の申告は、漁船等の整備当初から認定既存就業者が行うこととする。
(4) 漁船等の廃棄等について
4 事業報告書の提出
漁協は、賃貸期間が終了した場合は、様式第9号により協議会を経由し速やかに与那国町に事業報告書を提出する。
5 営漁報告等
また、報告を受けた漁協は、報告受理後速やかに、受理した報告書の写しを協議会及び与那国町に提出するものとする。
6 関連契約
この要領に関連して、漁協と造船会社あるいは漁船設備業者との契約が生じる可能性がある。漁協は、それら契約書の様式(別紙2及び別紙3)を参考に適切に契約を締結するものとする。
7 その他
この要領に定めるもののほか、この事業の実施に必要な事項は別に定めるものとする。
附則
(施行期間)
この要領は、公布の日から施行し、令和3年8月28日から適用する。